講演内容

 

 

第1部「南硫黄島の魅力 ~調査隊の真実を、特別映像で~」

 

01「Making of 南硫黄島学術調査隊」(鈴木創・中野秀人・小泉恵佑・堀越和夫・加賀芳恵・鈴木直子)

東京都・首都大学東京・NHK3者によるスクラム。小笠原に精通したフィールドワーカー、トップクライマー、プロダイバーの連携。大型船のバックアップと、隊を支えた人々。最後の秘境・南硫黄島にどのように挑んだのか。また、原生自然への立入るための厳しい検疫についてもお話します。

 

02「海上のアルプスに挑む」(天野和明・松本省二・淀川裕司・金子タカシ・川口大朗・村田悠介)

平均斜度45度という急峻な島、そこには世界に類を見ない、ヒマラヤよりも珍しく、興味深い地形が広がっていました。

 

03「実録!南硫黄島調査の真実」(山崎敦基・小山靖弘)


記録班は生態系の姿とともに、隊員たちの過酷で愉快な生活も撮影しました。ドローンが初めて捉えた崖の上の自然、天高く舞うオオコウモリに降り注ぐ海鳥、喜ぶ隊員、悲しむ隊員。調査結果からはわからない調査隊の真の姿を本邦初公開!

 

04「南の島は海に限るぜ!」(山田鉄也・向顕嗣・飴田洋祐・関口匠・高嶺春夫)


山が秘境なら海もまた秘境。人間を知らない魚達の楽園で見られる光景は圧巻の一言。貴重な水中映像を基に紹介します!

 

第2部「命がけで持ち帰った研究成果と知見~想像を絶するさまざまな生物~」

 

05「南硫黄島の自然の魅力を思い知れ」(可知直毅)

「進化の見本」として世界自然遺産に登録された小笠原諸島。その中でも、南硫黄島は小笠原の自然の原点といえる島です。なぜ、研究者はこんなに苦労して南硫黄島の自然を知ろうとするのか、そんな島の魅力についてお話します。

 

06「霧のむこうのふしぎな植物」(高山浩司・加藤英寿・保坂健太郎・川口大朗)

南硫黄島には幻の植物が生きていました。東京都レンジャー・研究者・ガーデナーの巧みなバトンリレーによって、その実態が明らかとなりました。南硫黄島の植物、菌類、地衣類の起源や生態を紹介します。

 

07「昼飛ぶオオコウモリの謎解き10年」(鈴木創・村田悠介・飴田洋祐)

10年前に、この目で見た南硫黄島のオオコウモリは謎だらけでした。からだが赤茶色で、まっ昼間に飛び回り・・・・あれは幻だったのでしょうか? 10年越しの謎解きに挑みます!

 

08「希少生態系土壌動物物語」(岸本年郎・苅部治紀・森英章)

森が育ち土が発達すると、そこにすむ動物たちも増えてきます。絶海の孤島にはどのような土壌動物がすむのでしょうか?今回はじめて行われた土壌動物調査では、世界的に注目される固有の新種も発見されました。これまでに見えてきた成果をお伝えします。

 


09「こだまの来し方 陸産貝類」(千葉聡・和田慎一郎)

「ここにもコダマがいるのか?」。私は豊かな森を見てそうつぶやきました。彼らはどこから来てどこに行こうとしているのでしょう。進化の自然の実験場―南硫黄島で、そこに住むミクロなカタツムリたちの由来や進化について紹介します。

 

10「みんなカニを好きになれ!」(佐々木哲朗・堀越宙)

カニ達はなぜ山を目指すのでしょうか。世界有数の山岳島・南硫黄島で、海洋生物である甲殻類が内陸へと進出する姿に迫りました。

 


第3部「最後の秘境!~原生自然の幾年月~」

 

11「10年、長いか、短いか」(朱宮丈晴)

絶海の孤島に浮かぶ熱帯山地型雲霧林という特殊な森の姿を10年前と比べながらご紹介します。

 

12「原始の島の10年間 虫の巻」(苅部治紀・森英章)

絶海の孤島と称される南硫黄島の探検調査から10年、とにかく虫がいなかった印象が強かった南硫黄島ですが、久しぶりに訪れることができた島は、また別の顔を見せてくれました。10年の間に新たに定着したもの、消えたもの、激増したもの、36年ぶりの再発見、今回も見つかった新種などなど、昆虫調査の成果を紹介します。

 

13「この島は海鳥が作る島」(川上和人・佐藤臨・中下留美子)

南硫黄島で出会ったのはおびただしい数の海鳥でした。かつて人間が住む前には、小笠原の他の島も同じ姿だったはずです。海鳥はこの島に栄養分や種子をもたらします。海鳥がこの島にいることの意味を一緒に考えましょう。